インビザラインの費用相場から治療医院の選び方まで
歯列矯正にはさまざまな種類があります。具体的にはワイヤー矯正であれば、銀色のワイヤーのものや透明のワイヤーのもの、そして表側裏側などです。ワイヤー矯正以外では、マウスピース型の矯正であるインビザラインがあります。インビザラインは取り外しができるため、管理しやすいのが特徴です。
本記事では、インビザラインの費用から治療医院の選び方について解説します。
目次
インビザラインとは
インビザラインは、透明のマウスピースを用いた歯列矯正です。矯正方法には、インビザラインの他に、ワイヤー矯正、セラミック矯正の2つがあります。ワイヤー矯正は、歯に矯正装置をつけ、ワイヤーを通して歯を動かす方法です。みなさんがよくイメージする矯正方法が、ワイヤー矯正にあたります。後者のセラミック矯正とは、歯の上にセラミックの義歯を被せて行う方法です。どちらの矯正も1年から3年ほどの期間を要します。
ワイヤー矯正セラミック矯正に対して、インビザラインは透明のマウスピースを装着して矯正するため、周囲から気づかれにくいのが特徴です。さらにマウスピースは取り外しもできるため、食事、歯磨きがしやすくなっています。口の中を清潔に保てるのは、インビザラインのメリットです。
インビザラインの歴史
インビザラインは、1997年にアメリカのアラインテクノロジー社によって開発された矯正方法です。日本では比較的近年導入された矯正方法で2006年ごろに開始されました。インビザラインは世界各国で行われている矯正方法で、2023年3月時点では1,500万人の症例数を誇っています。
インビザラインの費用相場
インビザラインの費用は、相場は全体矯正なのか、部分矯正なのかによって異なります。全体矯正はすべての歯を治療するため金額が高くなります。一方、部分矯正は気になる部分だけの治療となるため、全体矯正よりも費用を大きく抑えられます。
全体矯正 | 70〜120万 |
部分矯正 | 20〜65万円 |
ワイヤー矯正との料金比較
ワイヤー矯正との料金比較をする際は、矯正方法と矯正する場所によって大きく異なります。ワイヤー矯正で最も安いのは表側の部分矯正、続いて全体矯正です。そして次に裏側ワイヤー矯正の部分矯正です。最も高いのは、裏側ワイヤー矯正の全体矯正となっています。
意外にも、ワイヤー矯正の表側とインビザライン矯正が同じくらいの金額です。なお、部分矯正は、費用は安いものの、対応できる症例は限られます。
インビザライン | 全体矯正 | 70万円〜120万 |
部分矯正 | 20万円〜65万円 | |
ワイヤー矯正(表側) | 全体矯正 | 60万円〜120万 |
部分矯正 | 20万円〜40万円 | |
ワイヤー矯正(裏側) | 全体矯正 | 120万円〜150万円 |
部分矯正 | 40万〜 |
関連記事:インビザライン矯正とワイヤー矯正どっちを選ぶべき?
歯並びの乱れの程度別の費用相場
歯並びの乱れによってでも料金が変わります。以下はあくまで目安ですので、参考程度にしてください。
- ・歯並びの乱れが軽度:20〜50万円
- ・歯並びの乱れが中等度:50〜80万円
- ・歯並びの乱れが重度:80〜100万円
具体的にどのぐらいの費用がかかるかは、クリニックや歯科医院や治療方法によって異なりますので、気になる方はカウンセリングで聞いてみましょう。
インビザライン費用の内訳
ここでは、インビザラインの費用内訳について紹介します。インビザラインの内訳は、主に以下の7つに分けられます。
- ・カウンセリング(初診費用)
- ・精密検査
- ・矯正装置料
- ・矯正調整料
- ・抜歯費用
- ・保定期間の診察費用
- ・その他にかかる費用
インビザラインを検討している方は、参考にしてください。
カウンセリング(初診費用)
カウンセリングでは、患者の歯並びや悩み事を聞いた上で、今後の治療計画を説明します。ただし、精密な検査を行っていないため、正確な治療計画ではありません。またカウンセリング料金は、無料としている歯科医院が多くあります。歯科医院によって治療計画は大きく異なるため、何件か回って比較してから決めることをおすすめします。
精密検査
精密検査とは現在の歯並びの状況を確認し、今後の治療計画を立てるのに必要となる情報です。骨格のレントゲン検査をしたり、CT撮影をしたりします。検査は2万円から3万円ほどとなっていますが、クリニックによっても異なるため、ご自身で事前に確認してください。
矯正装置料
精密検査を行い、今後の治療計画が決まったら矯正装置をつける段階です。矯正装置料は矯正の中で最も費用がかかる部分であり、金額は矯正装置で大きく異なります。インビザラインの場合はであれば、70万円から120万円が相場です。
全体矯正の費用
先ほども紹介したように、インビザライン矯正で全体矯正をする場合は70万円から120万円が相場です。ただし、歯並びの乱れや治療計画によっても費用は大きく異なりますので、あくまで参考程度にしてください。
部分矯正の費用
インビザラインの部分矯正の場合は200,000円から650,000円が費用相場です。ただし、こちらもどのぐらいの箇所を治療するのかによって、金額が大きく異なります。
矯正調整料
矯正装置をつけた後は、ワイヤー矯正で1ヶ月に1回、インビザラインで2ヶ月から3ヶ月に1回通院し、装置の調整、歯に問題がないかを確認します。調整料が矯正装置料に含まれている歯科医院があれば、毎月支払う必要があるところもあります。
抜歯費用
スペースの確保のために、歯を抜くことがあります。抜歯費用とは、その際に発生する費用のことです。保険が適用されるケースがあったり、費用が掛からなかったりする医院もありますが、5000円から1万円程度かかるところもあります。クリニックによって差があります。
保定期間の診察費用
保定期間の診察費用とは、矯正後に歯が動いていないか確認する費用です。矯正が終了したとしても、歯は動きやすい状態にあります。その状態で歯を放置してしまうと、後戻りが発生します。その後戻りを防ぐために必要なのが、保定期間です。保定期間中の通院頻度は、初めは1ヶ月に1回、次に3ヶ月に1回、そして半年に1回と、徐々に頻度を下げていきます。
その他にかかる費用
これまでに紹介した費用以外にも、診察料や、トラブルで装置を外すことになったときの料金などがかかります。
また、歯科医によっては矯正装置料とは別に、保定装置料を請求するところもあります。どのぐらいの費用がかかるかは契約書に記載されているはずなので、そちらを確認してください。
インビザライン費用を抑える方法
インビザラインの費用は、決して気軽に受けられるといえる設定ではありません。
ただし費用を抑える方法があり、それが以下の4つです。
- ・部分矯正にとどめる
- ・医療費控除を受ける
- ・マウスピースの装着時間を守る
- ・トータルの治療費を明示している歯科医を選ぶ
それぞれの方法を詳しく紹介します。
部分矯正にとどめる
部分矯正にすれば、20万円から60万円前後に費用を抑えられます。気になる部分のみ矯正をするため、期間も短く済みます。ただし、部分矯正ができる方は限られています。歯並びに大きな乱れがない方、十分なスペースがあることが条件です。スペースの確保が難しい方や上顎前突、いわゆる出っ歯の方は難しい可能性が高いです。まずは、歯科医に相談してみましょう。
医療費控除を受ける
歯列矯正は基本的に保険適用がされるケースが限られており、自由診療となります。ただし、目的が歯並びの治療であれば医療費控除を受けられます。医療費控除を利用すれば、矯正治療にかかったお金が所得から控除され、一部戻ってきます。ただし、外見のために行った矯正治療は対象外です。歯並びの治療が目的であれば、医療費控除の対象になりますので、領収書は取っておきましょう。
関連記事:歯科矯正治療は医療費控除になるのか?対象となる3つの条件について
マウスピースの装着時間を守る
マウスピース、インビザライン矯正をするにあたって、マウスピースの装着時間は1日20時間となります。基本的には、食事・歯磨き以外は着用する必要があります。マウスピースを装着しないと、期間が長引く原因になってしまいます。治療が長引くと、追加でマウスピースを作成したり、作り直しになったりと、余分な費用がかかります。できるだけ費用を抑えるためには、装着時間を守り、治療が進むようにしましょう。
トータルの治療費を明示している歯科医を選ぶ
トータルの治療費を明示している歯科医を選ぶのも、1つの方法です。そもそも、インビザラインの治療費設定は歯科医によって異なります。初めから調整費用や、リテーナーの制作費を含めた料金設定になっているところもあれば、診察のたびに費用がかかる医院もあります。矯正治療は治療期間が2年〜となることはよくあり、診察のたびに費用がかかっていると、思った以上に高くなってしまう可能性があります。
一方、初めから費用が決まっているところであれば、追加料金は発生しません。そのため、費用を抑えたい方は、トータルの治療費を明示している歯科医を選んでみてはいかがでしょうか。
安いマウスピース矯正を選ぶ際の注意点
インビザラインを含め、マウスピース矯正の料金は、クリニックによってかなり差があります。相場よりも高いクリニックがある一方で、安いところもあります。
安いマウスピース矯正を行っているクリニックでは、治療実績がなかったり、知識のある先生が在籍していなかったりする可能性があります。
高いマウスピース矯正であれば信頼できるというわけではありませんが、矯正を受ける際は必ず治療実績があるのか確認しましょう。矯正歯科の先生が在籍しているか、インビザラインの認定医がいるかなどを基準にして、選ぶ方法もあります。
インビザラインは原則保険適用外
クリニックによって料金に差がありますが、インビザラインは50万円から100万円前後と、気軽に受けられる価格ではありません。理由としては、インビザラインは原則保険適用外となっているためです。保険適用外となっている理由は、歯並びを治すことは病気の治療では無いためです。歯並びが悪ければ体にさまざまな影響があるものの、歯列矯正をしたからといって、確実にリスクを軽減できるわけではありません。
しかし、インビザライン以外の歯列矯正方法であれば、特定の条件を満たすことで保険適用となるケースもあります。具体的には顎変形症が原因で噛み合わせに異常が生じている場合です。また、インビザラインを含めた歯列矯正は、目的が見た目を整えるのではなく、噛み合わせを整えることであれば、医療控除の適用ができます。
関連記事:歯列矯正は保険適用になるのか?適用対象症例・適用外症例について
インビザライン矯正費用のデンタルローン
インビザライン矯正費用を一括で支払うのが難しい場合は、デンタルローンを利用する方法もあります。デンタルローンとは歯の治療のためのローンで、信販会社が立替て、支払いをしてくれます。カードローンよりも金利が安く、医療費控除の対象ともなります。返済期間も最大で7年から8年と、無理なく返済が可能です。デンタルローンを導入しているクリニックであれば、窓口で手続きできます。
デンタルローンの注意点として、金利があるため、最終的な支払い金額は一括支払いよりも高くなります。さらに、原則20歳以上で安定収入がなければ利用は困難です。クリニックによってはデンタルローンを取り扱っていないこともあり、その場合は個人で申し込む必要があります。
治療費50万円の場合
インビザラインの治療費50万円をデンタルローンにした場合、月々の支払い金額は以下のとおりです。
金利3.8%で計算
- ・分割手数料:29,831円
- ・分割支払金合計:529,831円
- ・第1回目分割支払金:15,331円
- ・第2回目以降分割支払金:14,700×35回
ただし、こちらは金利がかなり抑えられている設定です。審査結果によっては、分割手数料がさらに高くなることもあります。あくまで参考程度にしてください。
治療費100万円の場合
インビザライン治療費100万円をデンタルローンにした場合、月々の支払い金額は以下のとおりです。
金利3.8%で計算
- ・分割手数料:59,663円
- ・分割支払金合計:1,059,663円
- ・第1回目分割支払金:25,663円
- ・第2回目以降分割支払金:24,400×35回
- ・ボーナス月加算分割支払金:30,000×6回
こちらも金利をかなり抑えての計算です。あくまで参考程度にしてください。
費用や治療計画に納得したうえでインビザライン矯正をしよう
本記事ではインビザラインの費用、相場から歯科医院の選び方などを紹介しました。インビザラインの費用相場は、全体矯正で70万円から120万円、部分矯正で20万円から65万円となっています。ただし、こちらはあくまで一例であり、クリニックによって金額は異なります。どのぐらいの費用になるかは人によって異なるため、まずはカウンセリングに足を運んでみてください。
なお、カウンセリングをする際は1つの歯科医にこだわらず、複数の歯科医で受けることをおすすめします。治療方向の違いや、歯科医の雰囲気を確認したうえで、信頼できるところで治療を受けましょう。
船堀の矯正歯科・船堀ガーデン歯科 矯正歯科では歯列矯正において、さまざまな症例に対応しています。
保険適用となる場合も、ならない場合も、カウンセリングやコンサルティングで適切な治療をご提案します。
歯列矯正治療をお考えなら、ぜひカウンセリングへとお越しください。
この記事を監修した人
船堀ガーデン歯科 矯正歯科 院長
東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業。ワタナベ歯科医院へ6年間勤務医として数多くの症例に携わり、歯科治療技術を研鑽。2020年5月、「船堀ガーデン歯科 矯正歯科」を開院。
一般歯科だけではなく、矯正歯科治療にも力を入れており、2022年にはインビザライン社から功績を認められ、インビザラインGo ゴールドプロバイダーを受賞。地域に密着し、「見てわかる」をモットーに丁寧でわかりやすい治療を提供している。
【略歴】
- 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
- ワタナベ歯科医院勤務
- ワタナベ歯科医院勤務
【メディア取材記事】