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歯科矯正治療は医療費控除になるのか?対象となる3つの条件について

歯科矯正治療を検討されている方に向けて、医療費控除について解説していきます。

決して安くはない歯科矯正治療を受けるなら、医療費控除を受けたいと考えるものでしょう。
しかし「対象となる症例は?」「申請に必要なものは?」「どのように申請すれば?」と、疑問を持っている方も多いものです。

そこで歯科矯正は医療費控除になるのか、控除対象となるための条件についてご紹介します。
申請方法や必要なものも解説しますので、参考にしていただければ控除の申請について一通りおわかりいただけるはずです。

 

 

医療費控除とは

「医療費控除」とは、医療費が高額になった場合、所得税の還付・減税が受けられる制度です。
対象となる場合、確定申告によって支払うべき税金の金額が少なくなります。

具体的には1月1日から1年間に支払った世帯内医療費の合計金を用いて計算した金額が、100,000円以上であると控除の対象となります[1]。
医療費控除とは以上のように、医療費が一定額以上になった場合に税金の控除が受けられる制度のことです。

関連記事:歯列矯正の費用相場を詳細に解説!

歯科矯正が医療費控除の対象になる条件

歯科治療分野では矯正治療が高額となる傾向があり、医療費控除の対象となる可能性があります。
ただし控除対象として認められるためには、次の3つの条件を満たさなければなりません。

条件①年間の医療費が10万円以上の場合

まずは年間の医療費が100,000円以上であることがひとつ目の条件です。
医療費控除の対象となる基本条件として、「年間の医療費が100,000円以上である」との条件が設けられています[1]。

ただし国税庁の言う年間の医療費とは、1人あたりの医療費ではありません[1]。
生計をともにする家族や親族の医療費も合計できます[1]。

つまり子どもに50,000円、母親に60,000円の医療費がかかった場合も控除の対象です。
医療費控除を受けるなら、まずは生計をともにする家族の医療費の合計が100,000円以上となることを確認してください。

条件②機能性向上のための治療の場合

歯科矯正が医療費控除になるのかどうかの判断として、「機能性向上のための治療であるか」を考えてみましょう。
もしかみ合わせなどの機能性に問題がなく、見た目の問題として矯正治療を受けたなら対象とはなりません。

しかし機能性に問題があるために受けた矯正治療であれば、医療費控除の対象となります。

たとえば発音がうまくできない、うまく食べものを噛み切れないなどの状態で治療を受けたなら、機能性に問題があると言えるでしょう。
同じ歯科矯正治療でも、医療費控除になるのかどうかは目的によって異なります。

関連記事:歯列矯正は保険適用になるのか?適用対象症例・適用外症例について

条件③子どもの場合

子どもの歯科矯正を行った場合、発育段階にある子どもであれば医療費控除の対象になる可能性が高くなります。
子どもの歯科矯正には、「今後の成長を健全にする」との目的が含まれるものです。

治療を実施する時点で機能性に不具合がなくても、治療をしなければ今後の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため子どもの歯科矯正は医療費控除の対象となる可能性が高いと考えられる治療です。

歯列矯正は保険適用になる場合があり、歯列矯正の費用を抑えることができます。医療費免除の条件に当てはまらなかった方や、保険適用の条件が気になる方は下記の関連記事をご覧ください。

関連記事:歯列矯正は保険適用になるのか?適用対象症例・適用外症例について

医療費控除に含まれる費用

医療費控除に含まれる費用として3パターンをご紹介しました。
しかし3つのパターンに該当していても、医療費控除に含まれない費用もあります。

それではどのような費用が医療費控除に含まれるのか確認しておきましょう。

医療費控除に含まれる費用

医療費控除に含まれる費用は次のとおりです。

【医療費控除として換算できる費用】

  • ・診療費
  • ・検査日
  • ・矯正装置の費用
  • ・調整料
  • ・処置料
  • ・治療のために必要な医薬品代
  • ・公共交通機関を利用した交通費

 

医療費控除に含められるのは、治療を受けるにあたって必要な基本的な費用です。
診療費や装置代、調整料、処置料、薬代などが含まれます。

交通費は公共交通機関を利用するのが基本ですが、通院が困難である場合はタクシー料金も含められることがあります。

関連記事:インビザラインも医療控除の適用対象?いくら還付される?

医療費控除に含まれない費用

それでは次に、医療費控除に含められない費用をご紹介します。

【医療費控除として換算できない費用】

  • ・ガソリン代
  • ・駐車場代
  • ・予防のための医薬品代
  • ・金利
  • ・診断書発行

 

通院するために公共交通機関を利用すれば医療費控除に含められますが、車を使った場合は含められないことに注意が必要です。
ガソリン代や駐車場代は、通院のためとしても認められません。

また治療に必ずしも必要ではない医薬品代も同様です。
その他、支払いのためにかかった金利や、診断書の発行料金も含められないことを知っておいてください。

医療費控除の対象になる金額の計算方法

それでは続いて、医療費控除の対象となる金額を計算する方法についてご紹介します。
まずは歯科矯正やその他の治療でかかった費用のうち、医療費控除として含められる金額を計算してください。

そして次の計算式に当てはめて算出しましょう。

総所得金額が200万円以上の場合

総所得金額が200万円以上の方であれば、次の計算式にて算出できます。

控除対象金額=含められる医療費合計-保険金による補填金額-100,000

総所得金額とは収入から控除などを差し引いた金額です。
俗に言う「手取り」の金額を当てはめてください。

以上の計算式で導き出された金額が100,000を超えていたら、医療費控除が受けられます。

総所得金額が200万円未満の場合

1月1日から1年間の総所得金額が200万円未満であった場合は、次の計算式にて算出してください。

控除対象金額=含められる医療費合計-保険金による補填金額-(総所得金額×5%)

変わる部分は、最後の「総所得金額×5%」の部分だけです。
控除などを差し引いた所得金額を用いて算出された金額が、100,000以上であれば控除が受けられます。

医療費控除を受ける際の手続き

それでは医療費控除を受けるにはどのようにすれば良いのか、手続きの方法についてご紹介していきます。

給与所得者の場合

給与所得がある方の場合は、「医療費控除の明細書」を作成して確定申告時に提出します。
提出先は居住地の所轄税務署です。

医療費控除の明細書作成のためには、病院や薬局から受け取った領収書を保管しておくようにしてください。
領収書に記載されている合計金額から、年間の医療費を換算します。
交通費の領収書はいりません。

医療費控除の申請のために使った領収書は、5年間保管しておきましょう。

控除額と税率は課税所得金額によって変わるため、次の表を参考にして作成します。

課税される所得金額 所得税の税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 0.05(5%) 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 0.1(10%) 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 0.2(20%) 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 0.23(23%) 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 0.33(33%) 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 0.4(40%) 2,796,000円
40,000,000円以上 0.45(45%) 4,796,000円

出典:国税庁:(PDF)医療費控除を受けられる方へ

課税される所得金額から税率を見つけ、控除額を計算します。

導き出された金額に0.021を乗じて復興特別所得税額を算出してください。
あとは源泉徴収票から「収入金額等」「所得金額等」「所得から差し引かれる金額」「所得税および復興特別所得税の源泉徴収税額」を転記します。

少し複雑かもしれませんが、確定申告の手引も参考にしながら記載してください。

必要なもの

給与所得者の方が医療費控除を受けるには、次のようなものが必要です。

【必要なもの】

  • ・源泉徴収票
  • ・病院の領収書
  • ・薬局の領収書
  • ・デンタルローンの契約書
  • ・医療補助金に関する書類
  • ・確定申告書
  • ・申告者の銀行口座番号
  • ・印鑑
  • ・診断書

給与所得者以外の場合

給与所得者以外の方が医療費控除を受ける場合は、確定申告の際に医療費控除の欄に記入を行います。
給与所得者でない方は、毎年確定申告を行っているはずです。

そのため確定申告の際、「医療費控除」の欄に記入をするだけで申告できます。
計算方法は前項で解説した、給与所得者の場合と同じ計算式です。

確定申告書に記入できたら、証明のための領収書を用意して提出の際に提示しましょう。

必要なもの

給与所得者以外の方が医療費控除を受ける場合も、必要なものは給与所得者の方とほぼ同じです。

【必要なもの】

  • ・病院の領収書
  • ・薬局の領収書
  • ・デンタルローンの契約書
  • ・医療補助金に関する書類
  • ・確定申告書
  • ・申告者の銀行口座番号
  • ・印鑑
  • ・診断書

 

源泉徴収票以外の上記のものを準備しておけば、確定申告で困ることはないでしょう。

 

医療費控除を受けるためのポイント

歯科矯正治療が医療費控除になるのかは、ケースによって変わります。
しかし控除が受けられる場合に備えて、控除を受けるためのポイントを知っておくことが大切です。

ポイント①治療費の領収書をとっておく

医療費控除を受けるには、治療費の領収書を保管しておかなければなりません。

確定申告にて医療費控除の申告をする際に、領収書はなくてはならないものです。
計算をする際にも必要となります。

さらに申告後、5年間の保管が義務付けられています。
領収書はとっておき、5年間、必ず保管しておきましょう。

ポイント②デンタルローンやクレジットカードの利用も対象になる場合がある

デンタルローンやクレジットカードで医療費を支払った場合も、医療費控除の対象とされることがあります。
しかしデンタルローンやクレジットカードで支払った場合、「支払日」が問題です。

もし年をまたいで支払いを行った場合は、実際の支払いがあった年に申告しなければなりません。
たとえば2022年11月に24回のデンタルローンを組んだ場合、2022年の医療費控除に含まれるのは12月末までの支払い分のみです。

実際の支払いがあった年に申告しなければならないことに注意してください。

関連記事:インビザラインの費用相場から治療医院の選び方まで

ポイント③過去5年間の分を申請できる

医療費控除は過去5年間の分を申請できます。
たとえば2020年の医療費が控除対象であったのに、確定申告をしないままになっていたとしましょう。
2025年までは「更正の請求」をすることにより、税金の還付が受けられます。

更正の請求とは納税額が本来よりも多かった場合に、適切な納税額に調整するための手続きのことです。
ただし期間は5年間と決まっています。
確定申告を行ってから5年以内に行えば、税金の還付が受けられます。

歯科矯正治療は医療費控除になる

 

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、歯科矯正治療が医療費控除になるのかがご理解いただけたと思います。

もし条件に当てはまれば、歯科矯正は医療費控除の対象となる治療です。
控除が受けられれば、金銭的負担を軽減しながらより快適な口元を目指せます。

船堀の矯正歯科・船堀ガーデン歯科 矯正歯科ではマウスピース型矯正装置にて、目立たず快適な矯正治療を行っております。
成人の方もお子様も、歯科矯正治療を検討されているならぜひ船堀ガーデン歯科までご相談ください。

 


 

[1]参照:国税庁:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

 

この記事を監修した人

監修者の写真

船堀ガーデン歯科 矯正歯科 院長

三宅 雄一郎
(みやけ ゆういちろう)

東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業。ワタナベ歯科医院へ6年間勤務医として数多くの症例に携わり、歯科治療技術を研鑽。2020年5月、「船堀ガーデン歯科 矯正歯科」を開院。
一般歯科だけではなく、矯正歯科治療にも力を入れており、2022年にはインビザライン社から功績を認められ、インビザラインGo ゴールドプロバイダーを受賞。地域に密着し、「見てわかる」をモットーに丁寧でわかりやすい治療を提供している。