マウスピース矯正って寝るときだけの装着でも効果はあるの?
取り外しが可能なマウスピース矯正は、その特性から寝ているときだけつければいいと思っている方は多いかもしれません。
結論から言うと、寝ている間だけマウスピースを装着しても、矯正治療の効果は十分に得られません。夜間だけではマウスピース矯正で推奨している装着時間に足りないからです。
本記事では マウスピース矯正の正しい装着時間や装着時間の短さが招くリスクについてお伝えしていきます。マウスピースを忘れずに装着するコツやリテーナー(保定器具)の装着時間も紹介します。
目次
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正(インビザライン)は、マウスピースを使い理想の歯並びへ徐々に近づけていく、比較的新しい矯正治療です。
従来のワイヤー矯正との大きな違いは、治療中でも矯正器具の取り外しができることです。
そのほか、治療期間や費用など、マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いを下の表をご覧ください。
マウスピース矯正 | ワイヤー矯正 | |
治療法 | 形状の違うマウスピースを段階ごとに付け替えて歯を動かす | 歯にブラケットを取り付けワイヤーを通して歯を動かす |
期間の目安 | 2年~3年 | 1.5年~3年 |
費用の目安 | 100万円前後 | 100万円前後+調整費 |
見た目 | 透明で気にならない | 金属が見えてしまう(表側矯正の場合) |
通院頻度 | 2カ月~3か月に1回 | 1カ月に1回 |
痛み | 少ない | 痛みをともなう |
効果 | 装着時間による | 高い |
食事 | 制限なし | ブラケットに引っかかりやすい食材は避ける |
関連記事:歯科矯正、市販のマウスピースでできる?メリット・デメリットも解説
インビザラインの装着は就寝時のみで効果はあるの?
インビザライン矯正で歯を動かすために使用するアライナーは、寝ている間だけ装着していても効果はありません。
矯正で歯を動かすためには継続的に強い力をかける必要があります。インビザライン矯正でも20時間以上の装着を推奨しています。
日本人の平均睡眠時間は7時間42分と短く、推奨される20時間以上には遠く及ばないため、寝ている間だけでは効果を実感しにくいでしょう。(参照:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 健やかな眠りの意義)
しかし、小さな子どもがインビザラインで歯科矯正する場合は、寝ている間とその前後の1時間~4時間ほどの装着でも効果を発揮します。これは子どものあごや骨がまだ成長途中で、歯が動きやすいからです。
骨やあごができあがっている大人がインビザラインで治療する場合は、指定された時間どおりにマウスピースをつけることが大切です。
関連記事:インビザライン矯正とは?メリットとデメリット・費用相場を解説
22時間の装着時間の必要性
インビザライン矯正は1日22時間、最低でも20時間の装着を推奨しています。取り外しが可能とうたいながら、なぜ長時間装着する必要があるのでしょうか。
ここからはその理由を解説していきます。
強制力をかけ続ける必要があるため
歯科矯正は、歯やあごに力を加えてゆっくり歯並びを整えます。
マウスピース矯正は必要に応じて取り外しできるというメリットがありますが、ワイヤー矯正のように持続的かつ強制的に力を加え続けることができません。つまり、アライナーを外している間は強制力がない状態です。可能な限りアライナーを装着し、強制力をかけ続けなければ歯並びはよくならず、インビザラインの効果を実感できません。
食事と歯磨き以外は、できるだけ装着したまま過ごすとよいでしょう。
アライナーを外している時に後戻りをしてしまうため
インビザライン矯正のメリットである取り外し可能という部分が、後戻りを引き起こす原因にもなります。アライナーを外して強制力を失うと、歯はその力に反発し元の場所に戻ろうとする性質があるからです。
短時間であれば影響は少ないと言われていますが、後戻りの可能性を最小限にするために、22時間の装着が望ましいとされています。
アライナーの装着時間が短いとどうなる?
インビザラインでは矯正の効果を持続させるために、1日をとおして可能限りアライナーを装着する必要があります。
しかし、装着時間が短いと治療にどんな影響が出てしまうのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
矯正期間がのびてしまう
シミュレーション通りに治療が進まないと、それだけ矯正期間は伸びてしまいます。
装着時間が足りないまま次のアライナーに付け替えれば、今の歯並びとあわず痛みや違和感が大きくなる可能性があります。そうなると、次の段階へ進む前に、一つ前のアライナーで歯がしっかり動くまで待たなければなりません。そのため、1日の装着時間を守らずにいると矯正期間はどんどん長くなってしまいます。
スケジュール通りに治療が進まない
インビザラインは1日22時間以上装着する前提で、歯の動きをシミュレーションし、アライナーをまとめて作成します。治療の過程がイメージしやすいうえ、少ない通院で治療が可能です。
しかし、装着時間が22時間を下回る日が続くと、シミュレーション通りに歯が動きません。そのため、アライナーが合わず痛みなどのトラブルで通院頻度が増えることが考えられます。また、アライナーを作り変えたり、はじめからやり直しになったりすることもあるでしょう。スケジュール通りに治療が進まないことがストレスになってしまうため、指示された装着時間を守る必要があるのです。
後戻りをしてしまう
アライナーをつけていない時間は歯が動かないだけでなく、せっかく動いた歯が後戻りしてしまいます。後戻りは単純に歯が元に戻るということではありません。歯が動いたことにより歯を支える骨も不安定になっているため、場合によっては歯がねじれを起こし、かみ合わせにも影響を及ぼす可能性があります。アライナーを装着しない時間を可能な限り減らし、後戻りを防ぐことが大切です。
歯茎が下がり根っこが露出してしまうことがある
アライナーの装着時間が足りないと、新しいアライナーに付け替える際、歯並びがその形状に追い付かず、トラブルの原因になることがあります。
本来少しずつ動かすはずが、次の段階に追い付いていない歯並びのまま新しいアライナーに付け替えると、歯に強い力が一気にかかるため、歯茎が下がり歯の根っこが露出する可能性があるのです。歯の根っこは虫歯のリスクが高く、インビザラインの治療スケジュールにも大きな影響が出る恐れもあります。
アライナーの装着時間を守るコツ
インビザラインは取り外しが簡単にできる反面、徹底した自己管理が求められます。
そのため、自身で装着時間を守るための工夫が必要です。
スマートフォンのリマインダーやアラームの活用
食事や歯磨きのタイミングでアライナーを外し、つけ忘れる方は多いでしょう。食事を始めるときに食べ終わるころにアラームが鳴るよう、スマートフォンでアラームをセットしておくと、アライナーのつけ忘れを防止できます。家を出る時間、寝る時間などある程度行動が決まっている時間をリマインダー登録しておくのも効果的です。
また、アライナーの付け忘れを防ぐためには、規則正しい生活も大切です。毎日のルーティンにアライナーの装着確認を取り入れ、習慣化していくとよいでしょう。
アライナーの予備を持ち歩く
朝、歯を磨いたあと装着し忘れたまま家を出たり、外出先で外してうっかり紛失してしまったりすることもあるでしょう。そういうときのために、毎日使用するかばんの中に予備のアライナーを入れておけばいざというときに役に立ちます。
予備といっても今と同じアライナーを用意するのは難しいので、一つ前のものでかまいません。後戻りを防ぐ効果が期待できます。
リテーナー(保定装置)は夜だけ装着も可能
歯科矯正では、矯正治療が終わった直後は後戻りしやすいため、リテーナーという保定装置を使用し歯並びを安定させます。これはインビザラインでも同じです。
結論から言うと、夜だけの装着でも可能な状態にはなります。しかし、それは2~3年かかる保定期間の一部分にすぎません。
というのも、一般的にリテーナーに変わってすぐの装着時間は、アライナーのときと同じ20時間以上と言われています。そして、リテーナーを装着して歯並びが安定するまでの期間は、アライナーでの治療に要した期間と同じくらい必要です。例えば、アライナーの期間が1年であれば、リテーナーでの保定も1年かかるということになります。
その後、16時間、14時間と徐々に時間を短くしていくため、結果的に夜だけの装着でも可能になるというわけです。
リテーナーに切り替わったからと言って、自己判断で夜だけの装着にせず、指定された時間に従いましょう。
関連記事:歯科矯正失敗!その原因と成功のコツを探る
マウスピース矯正は就寝時のみの装着だと後戻りの可能性大!
本記事ではマウスピース矯正で夜だけの装着が歯並びに与える影響について解説しました。装着時間が推奨される時間より短いと後戻りを引き起こし、治療期間が長引いてしまうため指示された時間を守ることが大切です。
当院のマウスピース矯正は全国でもトップクラスの症例数を誇ります。船堀でマウスピース矯正を検討中の方は、船堀の矯正歯科・船堀ガーデン歯科 矯正歯科で無料カウンセリングからはじめてみませんか。
この記事を監修した人
船堀ガーデン歯科 矯正歯科 院長
東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業。ワタナベ歯科医院へ6年間勤務医として数多くの症例に携わり、歯科治療技術を研鑽。2020年5月、「船堀ガーデン歯科 矯正歯科」を開院。
一般歯科だけではなく、矯正歯科治療にも力を入れており、2022年にはインビザライン社から功績を認められ、インビザラインGo ゴールドプロバイダーを受賞。地域に密着し、「見てわかる」をモットーに丁寧でわかりやすい治療を提供している。
【略歴】
- 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
- ワタナベ歯科医院勤務
- ワタナベ歯科医院勤務
【メディア取材記事】