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歯ぎしり・食いしばりがあってもインビザライン矯正は可能?注意点や対処法を紹介

インビザライン矯正を検討している方にとって、歯ぎしりや食いしばりは気になる問題かもしれません。

しかし、これらの習慣が矯正治療の障害になるとは限りません。
この記事では、歯ぎしりや食いしばりがある状態でのインビザライン矯正の可能性、注意点、そして対処法を詳しく解説します。

そもそも歯ぎしり・食いしばりとは

歯ぎしりとは、無意識のうち、または睡眠中に歯と歯をこすり合わせる行為のことです。この状態を一般的にブラキシズムと呼び、睡眠中に発生する場合を「睡眠時ブラキシズム」と呼びます。一方、覚醒時にも歯ぎしりをする人がいるため、その場合は「覚醒時ブラキシズム」と呼びます。
食いしばり、またはクレンチングとは、歯を強く噛み合わせることで、これもまた無意識に行われることが多いです。ストレスや不安、睡眠障害が主な原因とされており、不規則な生活リズムや心理的な圧力が関連していることもあります。

これらの行為は、多くの場合、睡眠中や日常生活のストレスによって無意識に引き起こされるため、本人が自覚していないことも多いです。家族やパートナーからの指摘で気づくこともありますが、自分ではその行為を認識していないことが多いです。歯ぎしりにはいくつかの形があり、代表的なものにグライディング、クレンチング、タッピングがあります。それぞれが特有の動作を伴い、異なる影響を歯や顎に及ぼします。

歯ぎしり・食いしばりの原因

歯ぎしりや食いしばりは、多くの場合、無意識に起こる行為であり、その原因は生活習慣や心理的な要因が深く関係しています。精神的なストレスや不安、そして睡眠の質が低下している状態が主な誘因となることが多いです。日常生活の中での習慣や行動も、このような行為に大きく影響を及ぼす可能性があります。

眠りが浅いため

睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、眠りが浅い状態に関連しています。深い睡眠では、体の筋肉が完全にリラックスするため、歯ぎしりの発生が抑えられていることが多いです。しかし、眠りが浅い場合、体のリラックスが不完全であり、無意識のうちに歯を強く擦り合わせたり、噛みしめたりすることが起こります。この状態は、睡眠の質を低下させる要因としても知られており、睡眠中に頻繁に目覚めることが多くなると、さらに歯ぎしりを引き起こしやすくなります。したがって、質の高い睡眠を確保することが、これらの症状の軽減につながる重要な対策となるでしょう。

ストレス

ストレスが歯ぎしりや食いしばりの一般的な原因であることは広く認知されています。日々の生活の中で蓄積されるストレスは、無意識のうちに体に緊張をもたらし、これが夜間に歯を強く食いしばる行動につながることが多いです。
また、ストレスは睡眠の質にも影響を及ぼし、リラックスして深い眠りにつくことを阻害します。この結果、眠りが浅くなり、歯ぎしりを引き起こす可能性が高まります
したがって、ストレス管理は歯ぎしりや食いしばりを減少させるために有効です。日々のストレスを効果的に管理することで、これらの無意識の行動を改善し、全体的な口腔健康を保つための重要なステップとなるでしょう。

日常的なスポーツや仕事による癖

スポーツ活動や職場での集中が必要な作業中に、多くの人が無意識に歯を食いしばることがあります。この癖は、体が緊張状態にあるときに現れ、運動時や重い物を持つ際、または精密な作業を行う際に顎の筋肉が自然と緊張するためです。長期にわたるこのような習慣は、歯ぎしりや食いしばりを引き起こす一因となるため、これを認識し、適切なリラクゼーション技術を取り入れることが、症状の軽減につながります。

歯への影響

歯ぎしりや食いしばりは、歯に影響を与えます。これらの行為によって生じる圧力は、通常の噛む力をはるかに超えるため、歯や顎の健康に多くの悪影響を及ぼす可能性が高いです。ここでは、具体的な影響を見ていきましょう。

関連記事:歯列矯正で抜歯が必要となる症例と歯を抜くメリット・デメリット

歯のすり減りや欠陥

歯ぎしりや食いしばりは、歯にかかる圧力が大きく、結果として歯のすり減りや欠陥が生じます。この圧力は、普段の食事で使う力の数倍にも及ぶため、歯のエナメル質が削られ、次第に薄くなっていきます。エナメル質が摩耗すると、歯は保護層を失い、虫歯やその他の歯の疾患に対して脆弱になります。
また、この過程で歯の形状が変わり、噛み合わせの問題が発生することもあるので注意が必要です。これにより、さらに歯ぎしりが悪化するという悪循環に陥ることがあります。歯のひび割れや折れといった深刻な破損も、この過度な圧力の影響で起こります。したがって、歯ぎしりや食いしばりによるダメージは、単に不快な音がするだけでなく、口腔内の健康全体に深刻な影響を与える可能性が高いです。

詰め物やかぶせ物が取れる

歯ぎしりや食いしばりによる圧力は、詰め物やかぶせ物にも大きな負担をかけます。このような状況では、詰め物やかぶせ物が破損し、場合によっては完全に取れてしまうことがあります。これらの歯科治療材料は通常の咬合力には耐えられますが、歯ぎしりによる高い圧力には対応しきれないことが多いです。詰め物やかぶせ物が取れた場合、下にある歯が虫歯になるリスクが高まりますし、さらには歯そのものが破損することも考えられます。このため、歯ぎしりや食いしばりが原因で詰め物やかぶせ物に問題が生じた際には、速やかに歯科医の診察を受け、適切な対策を講じるようにしましょう。

知覚過敏や歯周病の悪化

歯ぎしりや食いしばりによって生じる強い圧力は、歯のエナメル質を削り、その結果として歯の神経が外部の刺激に敏感になります。これが知覚過敏の原因となり、冷たい飲食物や熱いものが直接神経に触れることで痛みを感じます。
さらに、この状態は歯周病の悪化につながる可能性が高いです。歯ぎしりや食いしばりが歯茎に継続的な圧力をかけることで、歯肉が退縮し、歯の根が露出します。歯肉の退縮は歯周病の進行を促し、最終的には歯がグラつく原因にもなるでしょう。これらの問題は、歯と全身の健康に重大な影響を及ぼすため、早期の対処と適切な治療が求められます。

えらが張る・輪郭が変わる

歯ぎしりや食いしばりが習慣になっている場合、顔の形状にも変化が現れる可能性が高いです。顎の筋肉は、常に過度の圧力にさらされているため、使われる頻度と強さに応じて発達します。
これにより、エラが張り出して顔の輪郭が変わることがあります。顔の輪郭が変わると、見た目の印象が大きく変わるため、自己イメージに影響を与えることも少なくありません。

顎関節症になる

歯ぎしりや食いしばりによる持続的な圧力は、顎関節にも大きな影響を与えます。これらの行為が顎関節に過剰なストレスをかけることで、顎関節症のリスクが高まります。顎関節症は、口を開ける際の痛みや、顎の動きが制限されるなどの症状を引き起こす可能性が高いです。
朝起きたときに顎が痛む、あるいは口が思うように開かないなどの症状が見られる場合、顎関節症を疑うべきです。この状態が放置されると、痛みや機能の制限が悪化し、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。したがって、歯ぎしりや食いしばりが原因で顎関節症の症状が現れた場合は、速やかに歯科医師に相談し、適切な対処を受けましょう。

頭痛や肩こりになる

歯ぎしりや食いしばりが原因で顎の筋肉に過度な緊張が生じると、それが頭部や肩にまで影響を及ぼします。この緊張は、こめかみや首、肩に痛みやこりとして現れることが多いです。顎の筋肉は顔や頭部、首と密接につながっているため、顎の過剰な動きはこれらの部位に負担をかけ、結果として頭痛や肩こりを引き起こします。
このような症状は、長時間デスクワークを行う人やストレスが多い生活を送っている人に見られることがあり、適切な治療とリラクゼーション技術の実践が解消に向けて有効です。

歯ぎしりや食いしばりがあったときインビザライン矯正は可能か?

歯ぎしりや食いしばりがある場合でも、インビザライン矯正は基本的には可能です。しかし、これらの条件下での矯正治療には、注意点があります。ここでは、4つの注意点を見ていきましょう。

歯ぎしりや食いしばりによるアライナーのダメージ

歯ぎしりや食いしばりは、インビザライン矯正に使用されるアライナーにダメージを与える可能性があります。これらの習慣がある場合、アライナーに予期せぬ圧力がかかり、素材が破損し、変形することがあるので注意しましょう。アライナーの厚みが0.5mm程度と薄いため、強い咬合力が加わることで穴が開くことや割れることがあります。このようなダメージがアライナーに生じると、治療の効果が低下し、予定よりも長い時間が治療に必要となる可能性が高いです。

治療計画通りにならない可能性

歯ぎしりや食いしばりがある場合、インビザライン矯正中のアライナーに過度の力がかかることがあり、これが原因で治療計画通りに歯が動かない可能性があります。歯ぎしりによる連続的な圧力は、アライナーが歯に正確にフィットしないことを引き起こすことがあり、その結果、必要な歯の動きが妨げられることもあるかもしれません。このような問題が発生した場合、アライナーの再設計や作り直しが必要になることがあり、治療期間が予想よりも延長する可能性が高まります。

関連記事:インビザラインの治療期間はどのくらい?短縮するための5つの方法

インビザライン矯正後に歯列が戻りやすい

インビザライン矯正を終えた後、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある場合、歯列が元の位置に戻る「後戻り」が発生するリスクが高まります。この現象は、矯正治療で移動した歯が新しい位置に完全に固定される前に、過剰な力が再び歯に作用するために起こる現象です。治療後の不安定な期間に、リテーナーと呼ばれる装置を使用しても、強い歯ぎしりや食いしばりはそれを妨げ、歯が初期の位置に戻りやすくなるため、患者様は継続的なケアとリテーナーの正しい使用が重要です。

インビザライン矯正中はナイトガードが使えない

インビザライン矯正を受けている間、従来のナイトガードを使用できません。これは、アライナーが歯の移動を促すために設計されているのに対し、ナイトガードは歯ぎしりから歯を保護するためのものであるためです。アライナーは薄く、約0.5mmのポリウレタン製で、歯ぎしりによる圧力を十分に吸収できません。そのため、歯ぎしりがひどい場合、破損するリスクがあり、これが矯正治療の妨げです。それだけでなく、インビザラインは1日に最低22時間の装着で矯正が期待できるので、睡眠中にナイトガードを使用してしまうと、装着時間が不足してしまうといった理由もあります。歯ぎしりを抑制するためには、矯正治療と並行して、その原因を特定し対策を講じることが必要です。

歯ぎしりや食いしばりの改善方法

歯ぎしりや食いしばりは、多くの場合、ストレスや睡眠の質、不適切な歯並びに起因します。これらの問題を解決することは、インビザラインを含むあらゆる矯正治療の成功に不可欠です。

ストレスの改善

ストレスは無意識のうちに歯を食いしばる原因の1つです。日常生活でストレスを管理するためには、リラクゼーションスキルを習得することが効果的です。瞑想、深呼吸、ヨガなど、リラックスを促す活動に定期的に時間を割くことで、心の平穏を保ち、歯ぎしりを自然と減らせます。また、仕事やプライベートでのストレスを特定し、積極的に解消することも大切です。

睡眠の質を向上させる

質の高い睡眠は、体だけでなく精神の健康にも直接的に影響し、歯ぎしりの軽減にもつながります。睡眠の質を向上させるためには、寝室を静かで暗く、涼しい環境に保つことが大切です。また、寝る前のカフェイン摂取を避け、就寝前のスマホ使用などを制限することも効果的です。寝具として体に合ったマットレスや枕を選ぶことも、快適な睡眠には欠かせません。

歯並びや嚙み合わせを矯正する

不正な咬合や歯並びは、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりを引き起こしている可能性があります。これらの問題を修正することで、歯や顎にかかる圧力が均等に分配され、症状を軽減させることが期待できます。インビザライン治療は、見た目にも自然で、効果的な方法として選択されることが多いですが、治療前に歯科医師としっかりと相談し、個々の状態に最適な治療計画を立てることが大切です。

関連記事:失敗しない矯正歯科の選び方を教えます!このポイントを抑えよう

歯ぎしりや食いしばりでアライナーが破損した場合

歯ぎしりや食いしばりは、アライナーに予期せぬダメージを与える可能性があります。これにより治療の遅延や計画の見直しが必要になることもあるでしょう。そのため、破損が発生した場合の迅速な対応が求められます。

担当歯科医師に連絡

アライナーに異常を感じたらすぐに担当歯科医師に連絡を取りましょう。破損したまま使用し続けると、治療の効果が減少するだけでなく、さらなる口腔内の問題を引き起こす可能性があります。専門家のアドバイスを受けることで、適切な対処法を確認し、問題の解決につながります。

破損したアライナーは使わない

アライナーが破損した場合、新しいものを受け取るまでの間、前の段階のアライナーを使用することが推奨される場合もあるので捨てないようにしましょう。破損したアライナーを使用し続けることは避け、歯科医師の指示に従ってください。これは、破損したアライナーが適切な力を歯に伝えられないため、治療の進行に悪影響を及ぼす可能性があるからです。

治療計画を見直す

アライナーの破損は、治療計画の見直しを必要とする場合があります。破損の程度によっては、新しいアライナーの製作が必要になることがあり、これが治療期間の延長につながることもあります。定期的な診察を通じて、治療の進行状況を評価し、必要に応じて計画を調整することが大切です。

自分でできる歯ぎしりセルフチェック

歯ぎしりや食いしばりは、無意識のうちに行われるため、自分では気づきにくいものです。しかし、これらの習慣が長期にわたって続くと、歯や顎にさまざまな問題を引き起こす可能性があります。以下のセルフチェックを通じて、あなたが歯ぎしりや食いしばりの傾向を持っているかを確認しましょう。

  • ・家族やパートナーからの指摘:家族や一緒に寝ている人から、夜間に歯ぎしりしていると指摘されたことがあるか
  • ・朝の顎の疲労感:朝起きたときに顎が痛い、疲れている、またはこわばっている感じがするか
  • ・歯の損傷の指摘:歯科医から歯のエナメル質が異常にすり減っている、または詰め物が頻繁に外れると指摘されたことがあるか
  • ・視覚的確認:鏡で顔や口内を観察し、舌の側面に歯の跡がついていないか、または頬の内側に横線が入っていないか

これらのチェックリストに多く当てはまる場合、歯ぎしりや食いしばりがある可能性が高いです。睡眠中に無意識のうちに行っている場合が多いため、これらのサインを見逃さないようにしましょう。確認できた場合は、ストレス管理の改善、就寝環境の最適化、そして必要に応じて歯科医師に相談することをおすすめします。これにより、インビザライン治療中も含め、将来的な歯の健康を守るための適切な対策を講じることが可能です。

適切な管理ができればインビザラインは可能

歯ぎしりや食いしばりは多くの健康問題を引き起こす可能性がありますが、インビザライン矯正を含む適切な治療と管理により、これらの問題は効果的に対処可能です。矯正治療を成功させるためには、ストレス管理の改善、睡眠の質を高める工夫、そして歯並びの矯正が必要です。また、アライナーの破損や後戻りなど、矯正中の特有の問題に対しても迅速に対応することが求められます。

インビザライン矯正を検討している方は、これらのポイントを頭に置きながら、歯科医師と密接に連携を取り、健康な口内環境を維持しましょう。船堀の矯正歯科・船堀ガーデン歯科 矯正歯科へご相談ください。
矯正器具が破損してしまったりした場合でも、修理できるものであれば対応いたします。治療について気になることは、どんなことでもお気軽にご相談ください。


この記事を監修した人

監修者の写真

船堀ガーデン歯科 矯正歯科 院長

三宅 雄一郎
(みやけ ゆういちろう)

東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業。ワタナベ歯科医院へ6年間勤務医として数多くの症例に携わり、歯科治療技術を研鑽。2020年5月、「船堀ガーデン歯科 矯正歯科」を開院。
一般歯科だけではなく、矯正歯科治療にも力を入れており、2022年にはインビザライン社から功績を認められ、インビザラインGo ゴールドプロバイダーを受賞。地域に密着し、「見てわかる」をモットーに丁寧でわかりやすい治療を提供している。