歯科矯正後のリテーナーはいつまで必要?装着期間と正しい使い方を徹底解説

矯正治療を終えて、美しい歯並びを手に入れたあなた。
「これでもう装置とはお別れ」と思っていませんか?
実は、矯正治療後の「リテーナー(保定装置)」の使用こそが、その美しい歯並びを長く保つための最も重要なステップなのです。
多くの患者さまから「リテーナーはいつまで装着すればいいのか」「装着をサボったらどうなるのか」といったご質問をいただきます。矯正治療に時間と費用をかけたからこそ、その成果を長く維持したいと思うのは当然のことですよね。
この記事では、矯正歯科医として多くの患者さまの保定期間をサポートしてきた経験をもとに、リテーナーの装着期間、正しい使い方、そして後戻りを防ぐためのポイントを詳しく解説します。
目次
リテーナーとは?なぜ矯正後に必要なのか
リテーナーは、矯正治療で整えた歯並びを維持するための「保定装置」です。
矯正治療が終わった直後の歯は、まだ新しい位置に完全には固定されていません。歯を支える骨や歯茎の組織が、新しい位置になじむまでには時間がかかります。
この期間にリテーナーを装着しないと、歯は元の位置に戻ろうとする力が働きます。これを「後戻り」と呼びます。
後戻りが起こるメカニズム
歯を動かす矯正治療では、歯を支える「歯槽骨」という骨を少しずつ変化させています。
矯正装置を外した直後は、この骨がまだ柔らかく不安定な状態です。また、歯と歯茎をつなぐ「歯根膜」という組織も、元の位置を記憶しているかのように歯を引き戻そうとします。
特に矯正治療直後の数ヶ月から半年は、歯が最も動きやすい時期です。この時期にリテーナーの装着を怠ると、せっかく整えた歯並びが短期間で崩れてしまうことがあります。
リテーナーの役割
リテーナーは、歯を新しい位置に固定し、周囲の組織が安定するまでサポートします。
具体的には以下のような役割があります・・・
- 歯の位置を保持する:矯正で得た理想的な歯並びをキープ
- 骨の再構築を促す:新しい位置で骨が固まるのを助ける
- 噛み合わせを安定させる:上下の歯の接触関係を維持
- 後戻りを防止する:元の位置に戻ろうとする力に抵抗
当院では、矯正治療と同じくらい保定期間を大切にしています。美しい歯並びは、適切な保定があってこそ長く維持できるのです。
リテーナーの装着期間はいつまで?
「リテーナーはいつまで装着すればいいのか」という質問に対する答えは、実は一概には言えません。
ただし、一般的な目安と、理想的な装着期間についてお伝えします。
基本的な保定期間は2~3年
多くの矯正歯科医院では、保定期間を2~3年程度としています。
これは、矯正治療にかかった期間と同程度の時間が必要だとされているためです。例えば、矯正治療に2年かかった場合、保定期間も2年程度が推奨されます。
矯正治療直後の数ヶ月から半年間は、1日20時間以上の装着が必要になることが多いです。食事と歯磨き以外の時間は、ほぼ常時装着していただくイメージです。
その後、歯の位置が安定してきたら、徐々に装着時間を減らしていきます。夜間のみの装着に移行するケースが一般的です。
理想は一生涯の装着
実は、歯科矯正の専門家の間では「リテーナーは一生装着するのが理想」という考え方が主流になっています。
なぜなら、歯は一生動き続けるからです。
加齢による変化、日常的な咀嚼の力、歯ぎしりや食いしばりなどの癖・・・これらすべてが歯の位置に影響を与えます。また、歯を支える骨は年齢とともに減少し、歯茎も痩せていきます。
保定期間が終わった後も、週に数回、あるいは就寝時のみでもリテーナーを装着し続けることで、美しい歯並びを長期間維持できる可能性が高まります。
個人差が大きい保定期間
保定期間は、以下のような要因によって個人差があります・・・
- 元の歯並びの状態:重度の不正咬合だった場合は長めの保定が必要
- 年齢:成長期の子どもは骨の代謝が活発で後戻りしやすい
- 歯の動き具合:大きく移動させた歯は後戻りのリスクが高い
- 口腔習癖:舌癖や口呼吸などの癖がある場合は注意が必要
- 親知らずの状態:親知らずが生えてくると歯列に影響することがある
当院では、患者さま一人ひとりの状態を定期的にチェックし、最適な装着スケジュールをご提案しています。
リテーナーの種類と特徴
リテーナーには、大きく分けて「取り外し式」と「固定式」の2種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、患者さまのライフスタイルや歯並びの状態に合わせて選択します。
マウスピースタイプ(クリアリテーナー)
透明なプラスチック製のマウスピース型リテーナーです。
インビザラインなどのマウスピース矯正を受けた方には、馴染みのある形状かもしれません。
メリット:
- 透明で目立ちにくい
- 取り外しが簡単で清掃しやすい
- 食事や歯磨きの際は外せる
- 装着感が比較的良好
デメリット:
- 装着を忘れやすい(自己管理が必要)
- 紛失や破損のリスクがある
- 耐久性がやや低く、定期的な交換が必要
プレートタイプ(ホーレータイプ)
歯の表面をワイヤーで、裏面をプラスチックのプレートで覆うタイプです。
従来から広く使われている、実績のあるリテーナーです。
メリット:
- 保定力が高い
- 耐久性に優れている
- 微調整が可能
デメリット:
- ワイヤーが目立つ
- 発音に影響が出ることがある
- 装着感に慣れるまで時間がかかる場合がある
固定式リテーナー(フィックスタイプ)
歯の裏側にワイヤーを接着剤で固定するタイプです。
主に前歯の裏側に装着し、常時保定を行います。
メリット:
- 外から見えない
- 装着を忘れる心配がない
- 確実な保定効果
デメリット:
- 歯磨きがやや難しい
- ワイヤー周辺に歯垢が溜まりやすい
- 定期的なクリーニングが必須
- ワイヤーが外れることがある
当院では、患者さまの歯並びの状態やライフスタイルに合わせて、最適なリテーナーをご提案しています。場合によっては、複数のタイプを組み合わせて使用することもあります。

リテーナーの正しい使い方とお手入れ方法
リテーナーの効果を最大限に発揮するには、正しい使い方とお手入れが欠かせません。
装着時間を必ず守る
矯正歯科医から指示された装着時間を厳守することが、最も重要です。
「少しくらいなら外しても大丈夫」という油断が、後戻りの原因になります。特に保定期間の初期は、指示された時間をしっかり守りましょう。
もし装着を忘れてしまった場合は、すぐに装着を再開してください。数日間外したままにすると、リテーナーがきつくなったり、入らなくなったりすることがあります。
飲食時は必ず外す
取り外し式のリテーナーは、飲食時には必ず外してください。
装着したまま食事をすると、リテーナーが破損したり、変形したりする恐れがあります。また、食べ物がリテーナーと歯の間に挟まり、虫歯のリスクが高まります。
水以外の飲み物も、できるだけ外してから飲むことをおすすめします。特に熱い飲み物は、リテーナーを変形させる可能性があります。
専用ケースを必ず携帯する
外出先でリテーナーを外す際は、必ず専用ケースに入れて保管してください。
ティッシュに包んで置いておくと、誤って捨ててしまうことがあります。実際、「食事後にティッシュごと捨ててしまった」という患者さまは少なくありません。
専用ケースは常にバッグに入れておき、外したらすぐにケースに入れる習慣をつけましょう。
毎日の洗浄を欠かさない
リテーナーは毎日洗浄し、清潔に保つことが大切です。
日常的な洗浄方法:
- ぬるま湯で優しく洗う(熱湯は変形の原因になるため避ける)
- 柔らかい歯ブラシで汚れを落とす
- 歯磨き粉は使わない(研磨剤でリテーナーが傷つく可能性がある)
- 中性洗剤や専用洗浄剤を使用する
定期的な洗浄:
- 週に1~2回、リテーナー専用の洗浄剤に浸ける
- 超音波洗浄器を使用するのも効果的
固定式リテーナーの場合は、ワイヤー周辺を特に丁寧に磨きましょう。歯間ブラシやフロスを使って、ワイヤーの下もしっかり清掃することが重要です。
定期検診を必ず受ける
保定期間中も、定期的に歯科医院でチェックを受けることが大切です。
当院では、保定期間中も3~6ヶ月に1回程度の定期検診をおすすめしています。検診では以下のようなことを確認します・・・
- 歯並びの状態(後戻りの有無)
- リテーナーの適合状態
- リテーナーの破損や変形の有無
- 虫歯や歯周病のチェック
- 噛み合わせの確認
定期検診で早期に問題を発見できれば、大きなトラブルを防ぐことができます。
リテーナーをサボるとどうなる?後戻りのリスク
「少しくらいなら大丈夫」と思って、リテーナーの装着をサボってしまう方がいます。
しかし、装着を怠ると、さまざまなリスクが生じます。
後戻りが進行する
リテーナーの装着を怠ると、歯は元の位置に戻ろうとします。
特に矯正治療直後の数ヶ月は、歯が最も動きやすい時期です。この時期に装着をサボると、短期間で目に見える後戻りが起こることがあります。
後戻りは徐々に進行するため、気づいたときにはかなり進んでいることも少なくありません。
リテーナーが合わなくなる
後戻りが進むと、それまで使っていたリテーナーが合わなくなります。
装着しようとしても入らない、あるいは強い痛みを感じるようになります。この状態になると、リテーナーの再製作が必要になることがあります。
再矯正が必要になる可能性
後戻りが大きく進行した場合、再び矯正治療が必要になることがあります。
せっかく時間と費用をかけて得た美しい歯並びを、再度矯正し直すことになるのは、精神的にも経済的にも大きな負担です。
再矯正を避けるためにも、リテーナーの装着は必ず守りましょう。
噛み合わせに影響が出る
後戻りによって噛み合わせが変わると、以下のような問題が生じる可能性があります・・・
- 顎関節症のリスク増加
- 咀嚼効率の低下
- 特定の歯への過度な負担
- 頭痛や肩こりなどの不定愁訴
美しい歯並びだけでなく、健康的な噛み合わせを維持することも、リテーナーの重要な役割なのです。

船堀ガーデン歯科・矯正歯科の保定サポート
当院では、矯正治療後の保定期間も、患者さまに寄り添ったサポートを提供しています。
矯正歯科医が常駐する安心体制
船堀ガーデン歯科・矯正歯科には、矯正歯科医が常駐しています。
保定期間中に何か気になることがあれば、すぐに専門医に相談できる環境が整っています。リテーナーの調整や、後戻りの早期発見など、きめ細やかなフォローが可能です。
総合歯科体制でトータルケア
当院は矯正歯科だけでなく、一般歯科、口腔外科、審美治療など幅広い診療に対応しています。
保定期間中に虫歯や歯周病が見つかった場合も、同じ院内で治療を受けられます。複数の医院を行き来する必要がなく、効率的に口腔内の健康を維持できます。
インビザライン・ゴールドプロバイダー認定の実績
当院は、マウスピース矯正「インビザライン」のゴールドプロバイダーに認定されています。
これは、年間症例数の多さと治療の質が評価された証です。豊富な経験と実績をもとに、一人ひとりに最適な保定プランをご提案します。
CT・セファロ・マイクロスコープ完備
当院では、CT、セファロ(頭部X線規格写真)、マイクロスコープなど、最新の設備を完備しています。
精密な診断により、後戻りの兆候を早期に発見し、適切な対応が可能です。
初回カウンセリング無料
「リテーナーが合わなくなった」「後戻りが心配」など、保定に関するお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
初回カウンセリングは無料で行っています。費用や期間、治療方法について、わかりやすくご説明いたします。
まとめ:リテーナーは一生のパートナー
矯正治療後のリテーナーは、美しい歯並びを長く維持するために欠かせない存在です。
基本的な保定期間は2~3年ですが、理想的には一生涯、少なくとも週に数回は装着を続けることをおすすめします。歯は一生動き続けるため、長期的な視点でのケアが重要なのです。
リテーナーの種類には、マウスピースタイプ、プレートタイプ、固定式タイプがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。患者さまのライフスタイルや歯並びの状態に合わせて、最適なものを選びましょう。
装着時間を守り、毎日のお手入れを欠かさず、定期検診を受けることが、後戻りを防ぐための基本です。リテーナーの装着をサボると、後戻りが進行し、最悪の場合は再矯正が必要になることもあります。
せっかく時間と費用をかけて手に入れた美しい歯並びです。リテーナーを正しく使い、その成果を一生涯守っていきましょう。
船堀ガーデン歯科・矯正歯科では、矯正歯科医が常駐し、保定期間中も安心してお任せいただける体制を整えています。総合歯科体制により、虫歯治療や予防ケアも同時に行えます。
目立たず、安心して歯並びを整えたい方へ
初回カウンセリングは無料です。リテーナーに関するお悩みや、矯正治療についてのご相談など、どんなことでもお気軽にお問い合わせください。
あなたの美しい笑顔を、私たちが全力でサポートいたします。
著者情報
院長 三宅雄一郎

略歴
東京医科歯科大学歯学部歯学科卒
ワタナベ歯科医院勤務
-研修・経歴-
立川相互病院(初期研修)→東京女子医科大学八千代医療センター(総合救急診療科 → 内視鏡科)
その後、千葉県がんセンターなどで非常勤として消化器内視鏡診療に従事
資格・所属学会
日本顕微鏡学会
日本歯周病学会
東京SJCD レギューラーコース修了
インプラントベーシックコース – ノーベルバイオケア
インプラントベーシックコース – ストローマン
インプラントベーシックコース – アストラテック
この記事を監修した人

船堀ガーデン歯科 矯正歯科 院長
東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業。ワタナベ歯科医院へ6年間勤務医として数多くの症例に携わり、歯科治療技術を研鑽。2020年5月、「船堀ガーデン歯科 矯正歯科」を開院。
一般歯科だけではなく、矯正歯科治療にも力を入れており、2022年にはインビザライン社から功績を認められ、インビザラインGo ゴールドプロバイダーを受賞。地域に密着し、「見てわかる」をモットーに丁寧でわかりやすい治療を提供している。
【略歴】
- 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
- ワタナベ歯科医院勤務
- ワタナベ歯科医院勤務
【メディア取材記事】









