矯正で歯を抜くのはなぜ？メリット・デメリットと抜歯が必要なケースを解説
「矯正治療で歯を抜くと聞いて不安になった」「健康な歯を抜くなんて本当に必要なの？」
このような疑問をお持ちの方は少なくありません。
矯正治療において抜歯が必要となるケースは確かに存在しますが、すべての患者様に抜歯が必要というわけではありません。抜歯を行うかどうかは、お口の状態や歯並びの程度、治療目標によって慎重に判断されます。
この記事では、矯正治療で抜歯が必要となる理由やメリット・デメリット、そして抜歯が必要なケースと不要なケースについて、矯正歯科医の視点から詳しく解説します。
目次
矯正治療で抜歯が必要になる理由
矯正治療で抜歯を行う最大の理由は、**歯を正しい位置に並べるためのスペースを確保すること**です。
歯並びが悪くなる主な原因は、歯の大きさに対して顎の骨格が小さいことにあります。限られたスペースに歯が収まりきらないと、歯が重なり合ったり、前に突出したりしてしまうのです。
このような場合、抜歯によってスペースを作ることで、残りの歯を理想的な位置に移動させることができます。特に、前歯中央から数えて4本目の**第一小臼歯**や5本目の**第二小臼歯**は、噛み合わせへの影響が比較的少ないため、抜歯の対象として選ばれることが多いです。
どの歯を抜歯するのか
抜歯する歯は、噛み合わせや審美性への影響を最小限に抑えるよう慎重に選択されます。
前歯には食べ物を噛み切る重要な役割があり、犬歯は他の歯への負担を分散する機能を持っています。そのため、これらの歯を抜歯することは基本的に避けられます。
一方、小臼歯は前歯と奥歯の中間に位置し、抜歯しても機能的な影響が少ないという特徴があります。また、奥歯と前歯の中間にあるため、矯正時の歯の移動距離が短く済むというメリットもあります。
親知らずが斜めや横方向に生えている場合は、歯列を乱す原因となるため抜歯が必要です。矯正後の歯並びに悪影響を及ぼすおそれがある場合も、親知らずの抜歯が推奨されます。
抜歯にかかる費用について
矯正のために行う抜歯は自由診療となります。
費用は1本につきおおむね5,000円から1万円程度です。ただし、親知らずが虫歯や歯周病の原因になっており、抜歯が必要と判断される場合は保険適用になることもあります。
抜歯本数は個々の症例によって異なります。上下左右で4本抜歯するケースもあれば、上顎のみ2本というケースもあります。抜歯本数が多く不安を感じる場合は、セカンドオピニオンを受けることも一つの選択肢です。
抜歯矯正のメリット
抜歯を伴う矯正治療には、いくつかの明確なメリットがあります。
確実に歯を並べるスペースを確保できる
抜歯によって十分なスペースを確保することで、歯を理想的な位置に確実に移動させることができます。
無理に非抜歯で治療を進めると、歯が骨からはみ出してしまったり、治療後に元の位置に戻る「後戻り」が起きやすくなったりするリスクがあります。抜歯によってこれらのリスクを大幅に軽減できるのです。
口元を引っ込めることができる
上下の前歯が前に傾斜している「上下顎前突」の場合、抜歯によって前歯を後ろに下げるスペースを作ることができます。
これにより、口元の突出感を改善し、横顔のラインを美しく整えることが可能です。口が閉じづらいという悩みも解消されることが多いです。
前歯が早い段階から動く
抜歯によってスペースが確保されるため、前歯の移動を早期に開始できます。
特に前歯の見た目が気になる方にとって、治療の早い段階で変化を実感できることは大きなメリットです。治療へのモチベーション維持にもつながります。
抜歯矯正のデメリット
メリットがある一方で、抜歯矯正にはいくつかのデメリットも存在します。
口元が引っ込みすぎる可能性
抜歯によって前歯を後ろに下げすぎると、口元が引っ込みすぎて老けた印象になることがあります。
もともと口元が引っ込んでいる方や、Eライン（鼻先と顎先を結んだライン）がすでに美しい方の場合、抜歯は慎重に検討する必要があります。治療計画の段階で、横顔のシミュレーションを行うことが重要です。
本来抜くべきでない歯を抜いてしまうリスク
矯正治療の経験が少ない歯科医師の場合、適切な抜歯計画が立てられないことがあります。
例えば、八重歯や前歯が二重歯列になっているケースで、前から2番目や3番目の歯を抜いてしまうと、噛み合わせや審美性に悪影響を及ぼすことがあります。矯正歯科医が常駐する専門クリニックで治療を受けることをおすすめします。
抜歯時の痛みや精神的な負担
健康な歯を抜くことに対して、精神的な抵抗を感じる方は少なくありません。
また、抜歯後には一時的な痛みや腫れが生じることもあります。ただし、適切な麻酔と術後管理により、痛みは最小限に抑えることができます。当院では、患者様の不安を軽減するため、丁寧な説明と痛みの少ない抜歯を心がけています。
抜歯が必要なケース
どのような場合に抜歯が必要となるのでしょうか。
代表的なケースを3つご紹介します。
顎が小さく歯に隙間がない場合
顎が小さく、歯と歯の間に隙間がない場合は、抜歯が必要となる可能性が高くなります。
歯を正しい位置に動かすための空間が確保できないため、抜歯によってスペースを作る必要があるのです。歯の大きさと顎の大きさに不調和がある状態を「アーチレングスディスクレパンシー」といい、これにより歯がガタガタ・デコボコに並んだ状態を「叢生」といいます。
上下の歯の噛み合わせが悪い場合
上下の歯の噛み合わせが悪い場合も、抜歯が必要となることがあります。
歯の噛み合わせが悪い原因として、上下の顎がずれていることがあります。顎のずれを改善するには外科手術が必要ですが、抜歯を行って歯列矯正治療を行えば、外科手術をしなくても噛み合わせを改善できる確率が高まります。
出っ歯（上顎前突）や受け口（下顎前突）の程度が大きい場合、歯を後退させるために抜歯が必要となるケースが多いです。
親知らずが歯列を乱している場合
親知らずが歯並びを悪くしている原因となっている場合、親知らずを抜歯します。
特に親知らずが斜め方向や横方向に生えてきた場合は、歯列が乱れやすくなるため抜歯が必要です。抜かないまま歯列矯正治療を行っても、さらに歯並びが悪化してしまうことがあります。
非抜歯で矯正できるケース
すべての矯正治療で抜歯が必要というわけではありません。
非抜歯で矯正できるケースも多く存在します。
歯並びの乱れが比較的小さい場合
歯並びが大きく乱れておらず、凹凸の程度が比較的小さい症例であれば、歯を抜かずに矯正できるケースが多いです。
いわゆる「すきっ歯」など歯並びに余分なスペースがある場合は、その空間を利用することで非抜歯矯正が可能です。
奥歯を後ろに動かせる場合
奥歯を後ろに動かしてスペースを作り、他の歯も順に奥へ移動させることができれば、非抜歯でも矯正可能です。
左右の奥歯を移動させると、5mm前後のスペースを作れます。ただし、歯を支える土台の骨がない部分へは移動できないため、歯列にある程度の余裕があることが条件です。この方法では基本的に親知らずを抜歯します。
幼少期から始める場合
子どもは大人よりあごの骨が柔らかいため、あごの成長を促して永久歯がきれいに並ぶ土台を作れます。
6歳から10歳の成長段階にある年齢から治療を開始すると、大人になって矯正が必要となった場合でも、抜歯しなくて済む可能性が高まります。早期介入により、将来の抜歯リスクや負担を軽減できるケースがあるのです。
抜歯・非抜歯の判断基準
抜歯するかどうかは、横顔の診断が非常に重要です。
Eラインの評価
Eライン（エステティックライン）とは、鼻先と顎先を結んだラインのことです。
すでにEラインが美しい方の場合、抜歯によって口元が引っ込みすぎるリスクがあるため注意が必要です。一方、口元を引っ込めたい、Eラインを綺麗にしたい場合は、抜歯した方が良い結果が得られることが多いです。
シミュレーションの活用
抜歯するかどうか迷う場合は、抜歯・非抜歯それぞれのシミュレーションを行うことをおすすめします。
当院では、インビザラインを使用したマウスピース矯正において、治療前にデジタルシミュレーションを実施しています。抜歯・非抜歯それぞれの仕上がりを視覚的に確認できるため、患者様ご自身が納得して治療方針を選択できます。
船堀ガーデン歯科・矯正歯科の矯正治療
当院は、矯正歯科医が常駐する総合歯科医院です。
インビザライン・ゴールドプロバイダー認定の実績を持ち、抜歯を伴うケースや過去にうまく整わなかったケースなど、難症例にも適切に対応できる経験を有しています。
総合歯科体制の強み
矯正歯科だけでなく、むし歯・詰め物・親知らず・予防・ホワイトニングなどの歯の悩みも同時に相談できる総合歯科体制を整えています。
むし歯治療や審美治療、インプラントも院内で並行可能であり、長期になりがちな矯正期間中のトラブルをワンストップでカバーできます。口腔外科担当医が在籍しているため、困難症例にも対応可能です。
初回カウンセリング無料
初回カウンセリングは無料で行っています。
治療前に費用・期間・装置の選択肢・メリット・注意点を分かりやすく説明し、疑問を解消してから治療に進める体制を整えています。矯正歯科医が常駐しているため、予約が取りやすく、治療中の変化やお困りごとにも迅速に対応できます。
精密な診断と安全性
CT・セファロ・マイクロスコープを完備し、器具の徹底した除菌・滅菌を実施しています。
精密な診断と安全性にこだわり、患者様一人ひとりに最適な治療計画を立案します。保定期間約2年で後戻り防止を徹底し、長期的に美しい歯並びを維持できるようサポートします。
まとめ
矯正治療における抜歯は、歯を正しい位置に並べるためのスペースを確保し、理想的な噛み合わせと美しい口元を実現するための重要な手段です。
抜歯が必要かどうかは、顎の大きさ、歯並びの程度、噛み合わせの状態、そして患者様の治療目標によって慎重に判断されます。抜歯にはメリットとデメリットの両面があり、横顔のバランスや将来的な歯並びの安定性も考慮する必要があります。
非抜歯で治療できるケースも多く存在しますが、無理に非抜歯にこだわると、後戻りや噛み合わせの問題が生じるリスクがあります。
当院では、矯正歯科医が常駐し、CT・セファロなどの精密検査機器を用いて詳細な診断を行います。抜歯・非抜歯それぞれのシミュレーションを通じて、患者様が納得して治療方針を選択できる環境を整えています。
「矯正治療を検討しているけれど、抜歯が必要かどうか知りたい」「自分に合った矯正方法を相談したい」という方は、ぜひ一度、無料カウンセリングにお越しください。
船堀ガーデン歯科・矯正歯科では、あなたに合った最適な矯正プランをご提案いたします。初回カウンセリングは無料です。まずはお気軽にご相談ください
著者情報
院長 三宅雄一郎
略歴
東京医科歯科大学歯学部歯学科卒
ワタナベ歯科医院勤務
-研修・経歴-
立川相互病院（初期研修）→東京女子医科大学八千代医療センター（総合救急診療科 → 内視鏡科）
その後、千葉県がんセンターなどで非常勤として消化器内視鏡診療に従事
資格・所属学会
日本顕微鏡学会
日本歯周病学会
東京SJCD レギューラーコース修了
インプラントベーシックコース – ノーベルバイオケア
インプラントベーシックコース – ストローマン
インプラントベーシックコース – アストラテック
この記事を監修した人
船堀ガーデン歯科 矯正歯科 院長
東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業。ワタナベ歯科医院へ6年間勤務医として数多くの症例に携わり、歯科治療技術を研鑽。2020年5月、「船堀ガーデン歯科 矯正歯科」を開院。
一般歯科だけではなく、矯正歯科治療にも力を入れており、2022年にはインビザライン社から功績を認められ、インビザラインGo ゴールドプロバイダーを受賞。地域に密着し、「見てわかる」をモットーに丁寧でわかりやすい治療を提供している。
【略歴】
- 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
- ワタナベ歯科医院勤務
- ワタナベ歯科医院勤務
【メディア取材記事】
