矯正のゴムかけはどんな効果？治療を早める仕組みを歯科医が解説
目次
矯正治療におけるゴムかけとは？
矯正治療を受けている方の中には、担当医から「ゴムかけを始めましょう」と言われた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
ゴムかけとは、矯正装置に小さな医療用ゴムを引っかけて、歯を動かす力を補助する治療法です。「顎間ゴム」や「エラスティックゴム」とも呼ばれ、矯正治療において非常に重要な役割を担っています。
使用するゴムは普通の輪ゴムのように見えますが、医療用に作られた専用のものです。太さや強さ、大きさが異なる様々な種類があり、患者さまの歯並びや治療の進行状況に合わせて適切なものを選択します。
ワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤーに取り付けられたフックにゴムを引っかけます。マウスピース矯正の場合は、マウスピースに設けられた切り込みや、歯の表面に接着したボタンにゴムをかけることが一般的です。
ゴムかけは患者さまご自身で毎日行っていただく必要があります。そのため、正しい装着方法を理解し、指示された時間しっかりと装着することが治療成功の鍵となります。
ゴムかけが持つ3つの重要な効果
効果①：歯を効率的に動かす力を加える
矯正装置だけでは、歯を三次元的に動かすために必要な力を十分にかけることができない場合があります。
ゴムかけを行うことで、ゴムの縮む力を利用して必要な箇所へ効率的に力をかけることができ、歯の移動をスムーズに進めることが可能になります。特定の歯を前方に引っ張ったり、後方へ移動させたりと、矯正装置だけでは難しい複雑な歯の動きにも対応できるのです。
この補助的な力により、治療期間の短縮につながる可能性もあります。
効果②：上下の噛み合わせを整える
歯列矯正の最終的な目標は、見た目を整えるだけでなく、正しい噛み合わせを獲得することです。
上下の歯がしっかりと噛み合っていないと、食べ物をうまく咀嚼できなかったり、顎関節に負担がかかってしまったりする可能性があります。ゴムかけによって上下の歯に適切な力が加わることで、顎の位置のずれを調整し、理想的な噛み合わせに近づけることができます。
特に出っ歯や受け口、開咬といった不正咬合の改善には、ゴムかけが欠かせない治療手段となります。
効果③：治療の仕上がりを良くする
矯正治療の中盤から終盤にかけて、歯並びがある程度整ってきた段階でゴムかけを開始することが多くあります。
この時期のゴムかけは、噛み合わせの微調整や歯列の最終的な仕上げに大きく貢献します。上下の歯の隙間を埋めたり、左右のバランスを整えたりすることで、見た目だけでなく機能的にも優れた歯並びを実現できるのです。
ゴムかけの種類とかけ方
ゴムかけには、患者さまの歯並びや治療目的に応じて様々な種類とかけ方があります。代表的なものをご紹介します。
Ⅱ級ゴム（出っ歯の改善）
上顎前突、いわゆる出っ歯の矯正に用いられます。
上の前歯付近と下の奥歯にゴムをかけることで、上顎の歯を後ろへ、下顎の歯を前へ引っ張る力が働きます。この力により、上下の前後的なバランスを整えることができます。
Ⅲ級ゴム（受け口の改善）
反対咬合、いわゆる受け口の矯正で使用されます。
上の奥歯と下の前歯付近を繋ぐようにゴムをかけます。Ⅱ級ゴムとは逆の作用で、上顎の歯は前へ、下顎の歯は後ろへ引っ張られることで、受け口を改善していきます。
垂直ゴム（開咬の改善）
前歯を噛み合わせた時に上下の歯の間に隙間が開いてしまう開咬の治療に用いられます。
上下の歯に対して垂直方向にゴムをかけることで、噛み合わせを深くする方向へ力を加えます。これにより、前歯の隙間を閉じていくことができます。
三角ゴム・台形ゴム
ゴムが三角形や台形になるように複数の歯にかける方法です。
開咬の改善や、治療の仕上げ段階で噛み合わせを緊密にする際に使用されます。複数の歯に同時に力をかけることで、より効果的に歯列を整えることができます。
クロスゴム
歯と歯がお互いにすれ違うようにかみ合っている交叉咬合の治療に用いられます。
たすき掛けのようにゴムをかけることで、すれ違った噛み合わせを正常な位置に戻していきます。
ゴムかけの装着時間と期間について
1日の装着時間は20時間以上が基本
ゴムかけの効果を最大限に引き出すためには、1日20時間以上の装着が推奨されることが一般的です。
食事と歯磨きの時間以外は常に装着するよう心がける必要があります。歯や顎に負担がかからない程度の弱い力を長時間かけ続けることが、効果的な歯の移動につながるのです。
装着時間が短くなると、歯の動きが鈍くなり、思っていた以上に治療期間が延びてしまう可能性があります。
ゴムの交換は毎日行う
使用するゴムは使い捨てで、劣化によってゴムの力が低下しないよう、一度外した後は新しいゴムに取り替える必要があります。
交換のタイミングは就寝前がおすすめです。夜間はお口の中の細菌が増えやすいため、清潔なゴムを装着することが衛生的です。
ゴムかけの期間は数ヵ月程度
ゴムかけを行う期間は、矯正治療全体の期間ではなく、治療の一部として数ヵ月ほど行われることが多いです。
患者さまの歯並びの状態や治療内容によって異なりますが、噛み合わせを作る時期や治療の仕上げ段階で集中的に行われます。担当医が治療の進行状況を確認しながら、ゴムかけの開始時期や終了時期を判断します。
ゴムかけをサボってしまうとどうなる？
ゴムかけは患者さまご自身で毎日行わなければならず、面倒に感じることもあるかもしれません。
しかし、指示通りにきちんと装着しないと、治療に様々な影響が出てしまいます。
治療期間が延びてしまう
ゴムかけは、歯に一定の力をかけることで歯を動かし、矯正治療を進めるために非常に重要な役割を担っています。
指示された通りにゴムかけを行わないと、歯の動きが悪くなり、治療期間が延びてしまう可能性があります。治療期間が延びるということは、それだけ通院回数も増えることになり、時間的・経済的な負担も大きくなってしまいます。
目的の効果が得られない可能性
ゴムかけは噛み合わせを整えるために計画的に行われる治療です。
装着時間が不足したり、サボってしまったりすると、計画通りに歯が動かず、噛み合わせにずれが残ってしまうことがあります。せっかく時間とお金をかけて矯正治療を受けているのに、理想的な仕上がりにならないのは非常にもったいないことです。
後戻りのリスクが高まる
治療後に噛み合わせが安定していないと、歯が元の位置に戻ってしまう「後戻り」のリスクが高まります。
ゴムかけによってしっかりと噛み合わせを整えておくことで、治療後の安定性が高まり、美しい歯並びを長く保つことができます。
ゴムかけで痛みを感じることはある？
ゴムかけを始めたばかりの頃は、引っ張られるような鈍い痛みや違和感を感じることがあります。
これは歯が動く際に、歯根膜と呼ばれる組織が圧縮されたり引っ張られたりするために起こる自然な反応です。特に装着直後から1〜2週間は痛みを感じやすいとされていますが、体が新しい歯並びや顎の位置に順応していくにつれて、次第に痛みは緩和されていきます。
痛みの程度には個人差がありますが、我慢できないほどの強い痛みが続く場合は、担当医にご相談ください。
痛みを和らげる方法
痛みが気になる場合は、市販の鎮痛剤を使用することもできます。ただし、使用する際は事前に担当医に相談することをおすすめします。
また、柔らかい食べ物を選ぶことで、噛む際の負担を軽減することができます。スープやおかゆ、ヨーグルトなど、あまり噛まなくても食べられるものを選ぶと良いでしょう。
当院の矯正治療について
船堀ガーデン歯科・矯正歯科では、矯正歯科医が常駐し、インビザライン・ゴールドプロバイダー認定の実績を持つ総合歯科医院として、患者さま一人ひとりに最適な矯正治療をご提案しています。
ゴールドプロバイダー認定は、年間症例数に応じて評価されるインビザラインのランクで、多くのケースに対応してきた証です。抜歯を伴うケースや過去にうまく整わなかったケースなど、難症例にも適切に対応できる経験を有しています。
総合歯科体制で安心の治療
当院は矯正歯科だけでなく、むし歯治療や審美治療、インプラントも院内で並行して行える総合歯科体制を整えています。
長期になりがちな矯正期間中に、むし歯ができてしまったり親知らずが気になったりしても、同じ院内でワンストップで対応できるため、転院の必要がありません。口腔外科担当医も在籍しており、困難症例にも対応可能です。
初回カウンセリングは無料
「矯正治療に興味はあるけれど、費用や期間が不安」という方も多いかと思います。
当院では、初回カウンセリングを無料で行っています。治療前に費用・期間・装置の選択肢・メリットや注意点を分かりやすくご説明し、疑問を解消してから治療に進めます。まずはお気軽にご相談ください。
充実した設備と衛生管理
CT・セファロ・マイクロスコープを完備し、精密な診断を実施しています。
器具の徹底した除菌・滅菌も行っており、安全性にこだわった治療環境を整えています。矯正歯科医が常駐しているため、予約が取りやすく、治療中の変化やお困りごとにも迅速に対応できます。
まとめ
矯正治療におけるゴムかけは、歯を効率的に動かし、理想的な噛み合わせを実現するために欠かせない治療法です。
患者さまご自身で毎日装着していただく必要があるため、面倒に感じることもあるかもしれませんが、指示された時間しっかりと装着することで、治療期間の短縮や仕上がりの向上につながります。
ゴムかけをサボってしまうと、治療期間が延びたり、目的の効果が得られなかったりする可能性があります。担当医の指示に従って、正しく継続的に装着することが大切です。
船堀ガーデン歯科・矯正歯科では、矯正歯科医が常駐し、インビザライン・ゴールドプロバイダー認定の実績を活かした質の高い矯正治療をご提供しています。総合歯科体制により、矯正治療中のむし歯治療や親知らずの抜歯なども院内で対応可能です。
初回カウンセリングは無料ですので、矯正治療やゴムかけについて気になることがあれば、お気軽にご相談ください。見た目だけでなく噛み合わせまで考えた、長く健康的な口元づくりをサポートいたします。
著者情報
院長 三宅雄一郎
略歴
東京医科歯科大学歯学部歯学科卒
ワタナベ歯科医院勤務
-研修・経歴-
立川相互病院（初期研修）→東京女子医科大学八千代医療センター（総合救急診療科 → 内視鏡科）
その後、千葉県がんセンターなどで非常勤として消化器内視鏡診療に従事
資格・所属学会
日本顕微鏡学会
日本歯周病学会
東京SJCD レギューラーコース修了
インプラントベーシックコース – ノーベルバイオケア
インプラントベーシックコース – ストローマン
インプラントベーシックコース – アストラテック
この記事を監修した人
船堀ガーデン歯科 矯正歯科 院長
東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業。ワタナベ歯科医院へ6年間勤務医として数多くの症例に携わり、歯科治療技術を研鑽。2020年5月、「船堀ガーデン歯科 矯正歯科」を開院。
一般歯科だけではなく、矯正歯科治療にも力を入れており、2022年にはインビザライン社から功績を認められ、インビザラインGo ゴールドプロバイダーを受賞。地域に密着し、「見てわかる」をモットーに丁寧でわかりやすい治療を提供している。
【略歴】
- 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
- ワタナベ歯科医院勤務
- ワタナベ歯科医院勤務
【メディア取材記事】
