インビザラインで口ゴボを治せるケースとは?難しい症例と治療期間・費用も解説
口元が前に出て見える「口ゴボ」は、見た目だけでなく発音や噛み合わせにも影響することがあります。
その原因は歯並びだけではなく、骨格や筋肉のバランス、日常の癖などさまざまです。そのため、インビザラインで対応できるケースと、別の治療が適切なケースが明確に分かれます。
この記事では、口ゴボのおもな原因やインビザラインで改善できる症例、治療が難しいケースを整理しました。
インビザラインが適応となる条件を理解しておけば、治療計画の検討がスムーズになり、自分に合った矯正方法を選びやすくなります。
自身の症例がインビザラインに向いているか判断したい方は、参考にしてください。
目次
口ゴボとはどのような状態?
ロゴボとは、横顔を見たときに唇や口元が前方へ突き出して見える状態を指します。
単なる「出っ歯」とは異なり、上顎や下顎の骨格の位置、唇の厚み、表情筋の使い方など複数の要素が関係することが多いとされています。
口ゴボの状態では、唇を自然に閉じにくいことから口呼吸になりやすく、口腔内の乾燥や虫歯・歯周病のリスクが高まりやすい傾向です。
見た目の印象は、顔が平面的に見えたり、幼く見えたりすることが多く、審美面で悩む方も少なくありません。
このように、口ゴボは美容面だけでなく、機能面にも影響を及ぼす可能性があります。
改善を検討する際は、原因の特定と治療法の選択が重要です。
口ゴボの5つの原因
口ゴボは見た目の印象を変えるだけでなく、口呼吸や発音、噛み合わせの乱れといった機能面にも影響を及ぼすことがあります。
そのため、「どの要因が関係しているのか」を正確に見極めることが大切です。
ここでは、おもな原因を5つ紹介します。
- 歯並びが悪い
- ガミースマイル
- 生まれつきの骨格や顎の形
- お口周りの習慣
- アデノイド顔貌
それぞれの原因がどのように口ゴボを引き起こすのか見ていきましょう。
歯並びが悪い
歯の傾きや位置のズレによって前歯が前方へ押し出されると、唇全体が突き出して見えることがあります。
上の前歯が前傾している場合や、上下の歯の噛み合わせにズレがあるケースなどは、口ゴボの原因になりやすいといえるでしょう。
また、歯列が乱れていると舌の位置が安定せず、無意識のうちに前歯を押す癖がつくこともあります。
歯並びに起因する口ゴボは、マウスピース矯正などで比較的改善しやすい傾向です。
ただし、歯の移動量や噛み合わせのバランスなどを踏まえ、ご自身にあった治療法を選択することが大切です。
ガミースマイル
ガミースマイルは、笑ったときに歯ぐきが大きく見える状態です。
この症状は、以下の要因が複数重なって起こることが多いと考えられています。
- 上唇が短い
- 上顎の骨が発達している
- 歯が長く見える位置に生えている
ガミースマイルの方は上唇の動きが大きく、口を閉じにくい傾向があるため、常に口周りの筋肉に力が入りやすいです。
その結果、口元が緊張しやすく、唇の突出感がさらに強調されることがあります。
改善するには、歯列矯正による前歯の位置調整や、ボトックス注射で上唇の動きを抑える方法、場合によっては外科的な骨の修正手術が検討されます。
生まれつきの骨格や顎の形
口ゴボは歯や筋肉の問題だけでなく、生まれつきの骨格バランスによっても引き起こされます。
とくに上顎が前方に出ている「上顎前突」や、下顎が後退している「下顎後退」のタイプは、顔全体が前に出た印象になりやすく、口元の突出感が強く見えやすいです。
このような骨格由来の口ゴボは、歯の位置を整えるだけでは十分に改善しにくいケースもあります。
歯列矯正で前歯の角度を調整することで、ある程度の見た目改善は可能です。
しかし、根本的な改善には外科的処置(外科矯正)の併用の検討も必要です。
なお、骨格的な特徴は遺伝の影響も大きいため、家族に同じような口元の特徴が見られることも少なくありません。
治療を検討する際は、矯正専門医による精密な骨格診断を受け、歯の位置と顎の関係を総合的に判断することが大切です。
お口周りの習慣
日常の何気ない癖が、口ゴボを悪化させる要因になることも少なくありません。
口呼吸や頬杖、舌で前歯を押す癖があると、歯列が前方へ動き、唇が押し出されやすくなります。
とくに成長期の子どもは、これらの習慣が骨格の発達に影響を与えることもあり、注意が必要です。
さらに、口を開けたままの状態で過ごす時間が長いと、唇を閉じる筋肉(口輪筋)が弱まり、自然に口を閉じることが難しくなる場合があります。
その結果、口元に力が入りすぎ、唇が突き出たように見えることも。
こうした癖が原因の場合は矯正治療とあわせて、呼吸法や舌の正しい位置を整えるトレーニングを行うと効果的です。
生活習慣の改善が、治療後の後戻りを防ぐうえでも重要なポイントです。
アデノイド顔貌
アデノイド顔貌とは、鼻づまりなどにより口呼吸が習慣化し、特有の顔立ちになる状態を指します。
上顎が前方に出ている、下顎が後退している、唇が常に開いているなど、結果的に口ゴボのような外見を伴うことが特徴です。
口呼吸が続くと、舌の位置が本来の位置より下がり、上顎が十分に広がらず、狭く前方へ成長する傾向が見られます。
これにより、歯列が乱れ、唇の突出感が目立つようになります。
顔全体のバランスが崩れるため、見た目のコンプレックスにもつながりやすいでしょう。
また、アデノイド顔貌への対応は、矯正治療だけでなく、耳鼻科的なアプローチも必要になることがあります。
たとえば、アデノイドや扁桃肥大がある場合は、手術によって気道を確保することで、口呼吸の改善が見込まれます。
インビザラインで口ゴボを治せるケース
口ゴボのすべてがマウスピース矯正で改善できるわけではありませんが、一定の条件を満たす場合には、インビザラインが有効です。
以下の条件が当てはまる場合、インビザラインによる治療が適応されやすいと考えられます。
- 歯並びが原因で軽度である
- 唇や口腔内組織に問題がある
それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
歯並びが原因で軽度である
口ゴボの原因が歯並びの乱れによるもので、骨格や顎の形に大きな問題がない場合は、インビザラインによる改善が期待できます。
たとえば、上の前歯が前方に傾いていることで唇が押し出されている場合は、マウスピースによって歯を正しい角度へと整えることで、唇の突出感を抑えることが可能です。
軽度の口ゴボであれば、抜歯せずにアーチの内側へ歯を移動させるスペースを確保し、全体のバランスを整える方法も選択できます。
インビザラインは、段階的に歯を動かしていくため、見た目に配慮しながら治療が進められるのも利点です。
ただし、歯の移動量が多い場合や、噛み合わせが大きくズレている場合は、ワイヤー矯正のほうが適していることもあります。
自身の症例がどの程度か、事前に精密な診断を受けることが大切です。
唇や口腔内組織に問題がある
唇や口周りの筋肉の使い方、舌の位置異常などが原因で起こる口ゴボも、歯列の調整によって改善が期待できるケースがあります。
常に舌で前歯を押していたり、口輪筋のバランスが崩れていたりする場合、歯の位置を整えることで唇の緊張が緩和され、口元の突出感が軽減されることもあります。
インビザライン治療では、マウスピースによって無意識の癖が矯正されやすくなる副次的な効果も見逃せません。
舌の正しい位置が保たれやすくなり、呼吸や発音にもよい影響が出ることもあるでしょう。
このような機能的な要因による軽度の口ゴボには、矯正だけでなく、筋機能療法(MFT)などのトレーニングの併用により、高い効果が期待されます。
歯並びと口腔習慣の両面からアプローチすることで、自然な口元に近づけることが可能です。
インビザラインで口ゴボを治すのが困難なケース
インビザラインは幅広い歯列の乱れに対応できる治療法ですが、すべての口ゴボに適しているわけではありません。
歯の移動量が大きい場合や骨格自体に問題があるケースでは、マウスピース矯正だけでの対応が難しいこともあります。
以下のような条件が重なる場合、インビザライン単独での改善は困難とされています。
- 抜歯が必要である
- 骨格が原因である
- 歯並びの問題が重度である
それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
抜歯が必要である
口ゴボを根本的に改善するために、歯を大きく後方へ移動させる場合、抜歯によってスペースを確保する処置が求められることがあります。
しかし、インビザラインは基本的には非抜歯での矯正を前提に設計されているため、大幅な移動を伴う抜歯ケースには対応が困難となる場合も。
とくに、上顎前突が強く前歯を大きく下げたい症例では、歯を抜いたスペースを活用して歯列を後退させることが必要です。
このような症例では、ワイヤー矯正のほうがコントロール性に優れており、仕上がりの精度も安定しやすいとされています。
なお、正確な判断のためには、矯正専門医による精密検査と治療計画の立案が不可欠です。
骨格が原因である
口ゴボが顎の骨格そのものに由来している場合、インビザラインのみでの改善は見込めません。
上顎が前方に位置している、あるいは下顎が大きく後退していると、歯並びを整えるだけでは口元の突出感が十分に解消されないためです。
骨格的な問題は歯の位置だけでは補えず、治療の選択肢が限られてしまうでしょう。
骨格性の口ゴボでは、外科的矯正(外科手術と矯正治療の併用)が必要になるケースがあります。
骨の位置を適切な位置へ移動させることで、横顔のバランスや噛み合わせを根本から整えることが可能です。
診断にあたっては、セファロ分析(頭部X線)などを用いた精密な評価が効果的です。
骨格の状態を正確に把握することで、最適な治療方法を選択しやすくなります。
歯並びの問題が重度である
歯のガタつきが大きく、前後左右に著しいズレがある場合、インビザラインだけでは十分な効果を得られないことがあります。
とくに、以下のケースでは歯を正しい位置に並べるためのスペース確保が困難です。
- 歯が大きくねじれている
- 歯が重なり合っている
- 歯列全体が狭くなっている
このような重度の症例では、歯の移動に対して繊細なコントロールが求められるため、ワイヤー矯正のほうが適していることも少なくありません。
ただし、近年では技術の進化により、インビザラインでも一部の重度症例に対応できることがあります。
とはいえ、すべてのケースに当てはまるわけではないため、事前に治療の適応可否を歯科医師に相談しましょう。
インビザラインによる口ゴボの治療期間と費用の目安
インビザラインで口ゴボを整えるには、どの程度歯を動かすか、どこまで改善を目指すかによって、必要な期間と費用に幅が出ます。
ここでは、治療期間と費用の目安をそれぞれ解説します。
- 治療期間の目安は症例の難易度によって異なる
- 費用はプランと治療範囲によって決まる
それぞれ参考にしてください。
治療期間の目安は症例の難易度によって異なる
インビザラインで治療可能な口ゴボは、おもに歯並びに起因する軽度から中等度の症例に限られます。
抜歯を伴うと難易度が上がるため、治療期間の目安も「非抜歯で歯の傾きや前突感を調整できる範囲」と限定的です。
歯列の移動量が少ない軽度なケースであれば、半年〜1年程度での改善が見込めます。
一方、歯の重なりや舌癖などがある場合は、動かす量や調整が増えるため、1年半〜2年近くかかることもあります。
インビザラインは治療計画どおりに進めば、比較的スムーズに終えることが可能です。
しかし、装着時間を守らなかったり、アライナーの追加が必要になったりすると期間が延びることもあります。
無理なく続けるためには、治療内容を事前に把握し、自分の生活習慣と照らし合わせることが重要です。
費用はプランと治療範囲によって決まる
インビザラインの費用は「見える部分の歯だけを動かす」のか、「噛み合わせまで含めて全体を整える」のかによって大きく変わります。
とくに口ゴボを改善したい場合、見た目だけでなく骨格的なバランスや唇の突出感まで考慮した治療を要します。
部分矯正では対応が難しく、全顎矯正となるケースが多いでしょう。
料金体系は治療計画や技工料、調整料がセットになっている場合もあれば、別途費用が発生する形式もあり、クリニックごとでさまざまです。
以下に、治療の費用目安をまとめました。
| 治療内容 | 費用の目安(税込) |
|---|---|
| インビザライン・ライト(軽度の症例) | 30万〜60万円 |
| インビザライン・フル(中度〜重度の症例) | 70万〜100万円 |
| 追加オプション(ホワイトニング等) | 1万〜5万円 |
精密検査や保定装置(リテーナー)の費用が別途かかることもあり、表示価格だけで判断すると予算を超えるケースもあります。
事前に「総額でいくらになるか」を確認し、内容を比較検討することが大切です。
インビザラインで口ゴボを治すことは可能!医師に相談しましょう
ロコボは歯や骨格の位置だけでなく、筋肉や生活習慣などさまざまな要素が重なって生じます。
インビザラインは、歯並びが原因の口ゴボに対して効果的な矯正方法です。
目立ちにくく、通院回数も少なく済むため、日常生活に取り入れやすい治療法といえます。
ただし、骨格や重度の歯列不正が関係する症例では適応が限られるため、事前の診断が欠かせません。
船堀ガーデン歯科では、豊富な症例経験をもつ矯正専門医が常駐し、口腔内全体を見据えた治療方針を提案しています。
インビザラインによる口ゴボ治療を検討している方は、まずは無料カウンセリングでご相談ください。
この記事を監修した人

船堀ガーデン歯科 矯正歯科 院長
東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業。ワタナベ歯科医院へ6年間勤務医として数多くの症例に携わり、歯科治療技術を研鑽。2020年5月、「船堀ガーデン歯科 矯正歯科」を開院。
一般歯科だけではなく、矯正歯科治療にも力を入れており、2022年にはインビザライン社から功績を認められ、インビザラインGo ゴールドプロバイダーを受賞。地域に密着し、「見てわかる」をモットーに丁寧でわかりやすい治療を提供している。
【略歴】
- 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
- ワタナベ歯科医院勤務
- ワタナベ歯科医院勤務
【メディア取材記事】









